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癒しの選び方(1−1) アロマテラピー(芳香療法) アロマは家庭のセルフケアにぴったりです。

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第1回目の「癒しの選び方」として、今回は「アロマテラピー(芳香療法)」についてご紹介します。

アロマテラピーとは、植物の葉や幹、花、種、根などから揮発性の成分を抽出した「精油(エッセンシャルオイル)」を、ディフューザーで拡散して香りを楽しんだり、トリートメントオイルに希釈して肌に塗布することで、リラックスやリフレッシュ効果などをもたらすものです。

今回は、そんなアロマテラピーの癒しの力について、東京・八王子でアロマテラピースクールを主催する川口三枝子(みえこ)先生(写真下)にお話を伺いました。

 

川口三枝子(かわぐち・みえこ) ナード・ジャパン認定アロマトレーナー。https://aromatime.jp/

 

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アロマテラピーで生理不順と不眠と家族の関係性が改善した

 

――まず、川口先生がアロマテラピーを始めたきっかけを教えていただけますか?

 

川口 アロマを知ったのは20年前です。1998年ぐらいかな。アロマテラピーの第2次ブームが起こっていた時期だと思います。日本アロマ環境協会(日本最大のアロマテラピーの協会)が2回目のアロマ検定を実施した頃ですね。

アロマテラピーを初めて行ったのは、「生活の木」(全国展開のアロマテラピーショップ)の手作りコスメ講座でした。私は八王子在住なのですが、八王子の駅前に「生活の木」が当時あって、あるとき、ローズの精油入りのマッサージクリームを作る体験会を開いていたんです。そこに参加して、持ち帰ったクリームをかさかさしていた足に塗るのを続けていたら、生理周期が整うようになった。

 

――それはアロマテラピーの効果なんですね。

 

川口 ええ。成分から考えると、ローズの精油にはゲラニオール成分が含まれていて、「子宮収縮作用がある」と言われているのですが、そのとおり、生理が整ったんです。その時に、「あ、アロマってすごい効果があるんだ」というのを実感しました。塗っていた足のかかとが、たまたまリフレクソロジーでいう「子宮」の反射区だったのも良かったと思うんですけど。

 

――すごいですね。

 

川口 でもハマった1番の理由は、アロマで家族の不眠が改善されたことですね。家族の1人がストレスで眠れなくなったので、試しにアロマのトリートメントオイルを作って、足に塗ってみたら、眠りの質が良くなった。「ちょっと調子が悪かったんだけど、触ってもらったからよく寝れたよ」と家族が褒めてくれて、触れ合いをしているうちに、いつもより自然と仲良くもなれて。

とくに何か話し合いをしたわけでもないのに、アロマを使っただけで、不調も家族の関係性も良くなっていったのが、私の中では大きかったです。

 

――そのとき、何の精油を使ったんですか?

 

川口 ラベンダーとか、一般的なリラックス系の精油だったかな。アロマの香りも、優しいタッチングも「癒し」だったんでしょうね、お互いにとって。

 

――なるほど。アロマテラピーって、芳香浴やコスメなどいろんなやり方がありますが、もっとも感じていらっしゃる効果は、「触れることを含めた、アロマテラピー」ということなのでしょうか。

 

川口 そうですね。ただ、手段というよりは、「アロマテラピーでいろんなセルフケアができる」ということが、私の中で1番重要ですね。そして、アロマを通して「健康リテラシー」を学べたのが良かったと思います。

 たとえば、私の夫は昔、薬をすごく飲んでいたんですよ。頭が痛くなったらすぐ頭痛薬を出してガーッと何錠も飲むような人だったんです。もちろん、私も薬や医療が不要だとは全く思わないんですけど、「具合が悪くなったら、とりあえず薬に頼る」っていう姿勢は、個人的には好きではなくて。私の実家は農家で、「風邪引いたらネギ巻きなさい」と言われて育ってきたので、他にも方法はあるだろうと。

そういうわけで夫に対しては、「痛みがあるときは、薬だけじゃなくてラベンダーを塗る方法もあるよ」と、実際に塗ってあげながら、3年ぐらいかけて刷り込んできました(笑)。今では夫はラベンダーが欠かせません。

 

好きな香りを楽しむことから始めよう。芳香浴だけでも驚く効果が

 

――基本的なところからですけど、アロマテラピー初心者の方って、どういうことから始めると良いのでしょうか?

 

川口 まずは香りを楽しむことから始めたら良いのではないでしょうか。香りを楽しむだけなら、病気で使えないなどの禁忌もあまり関係ありませんし、芳香浴だけでも十分アロマの恩恵にあずかれます。風邪予防として、寝る前にティートゥリーの精油を焚くのもおすすめですね。

 

――芳香浴で使うのは、どの精油でも良いのですか?

 

川口 ええ。「好きな香り」でいいと思いますよ。だけど中には嗅ぎなれない香りもあるので、最初はオレンジやレモンなどの柑橘系や、スギやサイプレスなどの森の香りとか親しみやすいものがいいんじゃないかなあ。使い慣れてくると鼻が学習して、たくさんの香りを楽しめるようになってきます。

 

――シチュエーションごとに、何かおすすめはありますか?

 

川口 以前、高齢者施設でアロマテラピーを行っていたときは、ユズとヒノキの香りが人気でした。ラベンダーなどの海外産の精油も自参したけど、お年寄りにはこの2つが人気。ユズとかだと、自分の経験を思い出して話をしてくださるので、日本の精油は良いですね。

 

――そうなんですね。アロマに慣れ親しんできたら、次はどんな使い方が良いでしょう?

 

お風呂でも手軽に楽しめますね。ただ、入浴剤として精油を使うときは、乳化剤は絶対入れましょう。初心者の方が、柑橘の精油を原液でお風呂に入れて、ピリピリして痛かったという失敗談とかよく聞くので。

 

――私もお風呂にグレープフルーツの精油を直接入れて、因幡のしろうさぎみたいになったことがあります(苦笑)。精油を粗塩に混ぜるのはどうでしょう?

 

川口 私はあまりおすすめしませんね。やっぱり乳化剤に混ざるか、植物油に混ぜるか。

 

――入れる量の目安はありますか?

 

川口 風呂釜に対して5滴。風呂釜ってだいたい平均して220リットル ぐらいだと思うんですけど、5滴あれば十分です。逆にそれ以上入れないほうがいい。経皮吸収によって体内に入りやすいので。

 

――使う精油は、どういう基準で選ぶと良いのですか?

 

川口 先ほども言いましたが、やっぱり香りの好みが一番大事です。もちろん禁忌を守って使う必要がありますけど、「どの精油でも大丈夫」っていう信頼感はありますね。禁忌さえ守れば、「どんな子(精油)でも元気にしてくれる」っていうか。

私のアロマスクールの生徒で、緩和ケア病棟で患者さんの痛みを和らげるためにアロマを使っている看護師さんがいて。その方によると、患者さんは辛い状況の中でもちゃんと精油を選ぶことができて、「イランイランがすごいいい」とおっしゃっていたそうです。イランイランの精油にはまさに鎮痛作用があり、「やっぱり香りを嗅ぐだけで、効果のある精油を選べるんだなぁ」と話を聞いて思いました。

とはいえ、不調に対して何の精油が働くかをロジカルに理解しているほうが、より効果的にアロマテラピーを行えるのは確かです。

 

膝の痛み、パニック、発達障害にも。工夫次第でアロマは無限に活用できる

 

――アロマで効果があった例として、どんなものがありますか。

 

川口 スクールの生徒さんだと、イボが小さくなるとか、シミが消えるとか。

 

――それはすごいですね。精油は何ですか?

 

川口 シミに効くのは、セロリとレモンのブレンドです。セロリの精油はメラニンの沈着を抑え、レモンの精油はターンオーバーを促進する作用があります。ホホバオイルかファーナスオイルに10〜20%濃度で希釈して(5mlのオイルに対して、精油約20〜30滴)、夜寝る前に、シミになった部分に1滴くらいつけてみてください。

ただ、セロリとレモンは光感作作用(肌につけて日光に当たると、アレルギー反応が出る)があるので、日中に塗布したまま外出するのはNGです。でもたったそれだけの量で、何カ月分も使えます。

ちなみに、生徒さんのお子さんに水イボを持っている子がいて、「病院で焼くのがかわいそうなので、何がいいですか」と相談されたときにこのブレンドをすすめたら、後日「イボがとれて、シミもうすくなった」と報告してくれました。

 

――他にはどんなものが良かったですか?

 

川口 火傷や怪我、虫刺されの跡がきれいになった方はけっこう多いですね。

火傷は真性ラベンダーが多かったかな。ケガは、ラベンダーやヘリクリサム。あと、ブヨとかでめちゃくちゃにかゆい時は、ラベンダースピカが強烈に効きます。

それから、生理痛でバファリンを常用していた方が、ラベンダーを使って薬が要らなくなったとか。

とびひになった小さなお子さんを持つお母さんに、ティートゥリーのハーブウォーターをおすすめしたこともあります。お風呂上がりにティートゥリーのハーブウォーターを塗ってあげていたら、その年は1回もとびひで困らなかったそうです。

 

(精油は小学生以下の小さな子供には刺激が強すぎるので、

濃度の薄いハーブウォーターがおすすめ)

 

――アロマやハーブウォーターが、子育てに活躍するんですね。

 

川口 お年寄りにもね。うちの母が半月板に人口関節を入れていて、膝の動きが悪いのですが、毎日、寝る前と朝の着替えの時に、アロマのトリートメントオイルを塗って動くと膝の動きが良いと言います。

 

――膝の動きの悪さに対しては、何の精油を使っていらっしゃるのですか?

 

川口 「足全体に塗るトリートメントオイル」と、「部分的に塗るトリートメントオイル」を作って、渡してあげています。足全体に対しては、身体を温めて鬱滞や鬱血をやわらげるシナモンやレモングラス、シダー、レモン(※ レモンは光感作作用があるので、日中に外出する場合は使用NG)を使っています。膝のところは、少し濃いめの濃度にして、ユーカリレモン、バジル、レモングラス、クローブ、ローズマリー・カンファー、ウィンターグリーン、ジュニパー、タイムサツレオイデス。特にタイムサツレオイデスは、ユーカリレモンと一緒に使うと、膝の動きが良くなりますね。

 

――いろんな方にぜひおすすめしたいですね。今まで、身体の不調に対してお話していただきましたが、メンタルにも働くのでしょうか?

 

川口 もちろんです。パニック障害に悩む、私と同年代の男性には、過呼吸になりそうなときに、イランイランとラベンダーを紙袋の底に塗って、紙袋を開いて嗅ぐようにしてもらってます。他にも、同じ症状で電車が乗れない方が、自宅でリラックスする精油の香りを焚いてもらい、その香りを持ち歩いたら、外出できるようになりました。

発達障害のサポートにも使えます。発達障害のお子さんを持つお母さん何人かとお会いしたとき、「お昼寝をさせたいけど、動き回ってなかなか昼寝させられない」という悩みを聞きまして。

眠らせたいときって、カモマイル・ローマン、プチグレン、マンダリンが鉄板なので、それをブレンドしてアロマスプレーを作っていただきました。それをスプレーすると、バタバタ動いてた子が、わりあい、すっと寝てくれるみたいです。

 

――それは眠れない大人にも良さそうですね。

 

川口 そうですね。自律神経を整えて不眠を改善したり、交感神経や副交感神経を上げることに役立つアロマはたくさんあります。

それから、別の発達障害の男の子の例なんですけど、運動会の直前って、授業の時間割が変わったりしますよね。「月曜日の1限はいつも国語なのに、体育になる」とか。発達障害の子って「いつもと違うスケジュールで動くこと」が難しいので、彼はそれがちょっとしんどいわけですが、彼がスポーツをする時に、お母さんがいつも運動着のタグにウィンターグリーンの精油を1滴つけてあげるそうです。そうすると、着替えをするたびにその香りがする。ウィンターグリーンの香りがアンカリングになって、「あ、運動する時間なんだ」と気持ちが切り替えられているそうです。

 

――香りが「ルーティーンだ」と思わせてくれるわけですね。

 

川口 そう。あと、その子はいつも真性ラベンダーを使っているんですけど、たまたまお母さんが真性ラベンダーじゃなくて、ラベンダースーパーを使ったら、「いつものラベンダーと全然違う」って分かったんですって。他の精油とブレンドしてるのに、微妙な香りの違いを嗅ぎ分けて、「違う。いつものがいい」って。お母さんは「ひぃー」となったらしく(笑)。その子、感性がすごくて、とくに香りとの感応が強いみたい。私は彼を「師匠」と呼んでます。

 

――川口先生も、ご自宅でもお使いになられてますよね?

 

川口 もちろん使いますが、使わないときもあります。元気な時は使わないです。「なんか体調がおかしくなりそうだなあー」と思ったら使う。そこがアロマの一番の使いどころだと思います。そのタイミングで使ってあげれば、体調が元に戻りやすいじゃないですか。風邪引きそうな時はすごい効果あるけど、本格的に引いちゃったら病院に行くほうがいいでしょう。なので、ちょっと元気がないときによく使いますね。

 

――アロマによっていろんなことが良くなっていくことを知ると、「使ってなかった人生」と、「使う人生」はだいぶ違うなと思います。大げさかもしれませんが。

 

川口 そうですね。本当にそう思います。につづきます)

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